歯を失った後の治療として、入れ歯治療があります。

ブリッジ治療[無くなった両隣りの歯を削り、取り外し不可能の差し歯を入れる治療]で対応できない場合に、選択される治療です。

 

　しかし、歯周病が原因で歯を失ったことで、

入れ歯を入れる土台の歯茎が痩せ細り、骨の高さも減り、

お口の中にあるスジ[小帯：しょうたい]が邪魔をし、

入れ歯の安定を妨げることがあります。

そこで、より安定し満足度の高い入れ歯を作るために、

【入れ歯の型取り】前に、【スジを切る処置：小帯切除術】をします。

※事前に治療の必要性が高い患者さんには説明させていただき、

　患者さんが同意し治療を希望された場合

 

〜スジ切り[小帯切除術]の適応の可能性が高い方〜

①過去に入れ歯を作り、入れ歯が動き使いづらい経験をしたことがある

②歯周病が原因で歯を失い、顎の骨の高さが低い

③スジの部分に当たりがあったり、食べかすが入り込むことがある

に該当する方は、新しい入れ歯を作る前に、

取っておいた方がメリットが高いです。

注意：保険適応で新しい入れ歯を再作製を希望される場合は、

作製後６か月が経過し、保険適応になるまでお待ちいただく必要がございます。

 

　そのままスジを取らず入れ歯を作る方法もございますが、

作った後に入れ歯が安定せず、処置を希望されたとしても、

新しい入れ歯の作り替えに６か月[半年間]間を明ける必要があります。

また、入れ歯が入った状態で処置を行うと、

①処置部位の治りが遅くなったり

　[歯茎への血行が悪くなったり刺激になるため]

②入れ歯の当たり[入れ歯の端が沈み込むことによる]

が出る場合がございます。

※入れ歯が不安定になるリスクが高い方には、

　【入れ歯作製前】に事前に説明させていただいております。

 

　具体的には、次のような治療計画で処置を行います。

１回目：入れ歯の診査[スジや骨の状態を目視、触診により調べます]

　　　　入れ歯の型取り

　※型取りを行い模型にし、３次元的にした段階で

　　処置の必要性を認めるケースがあります。

２回目：スジ切りの説明　※症例の紹介、治療を行った場合のメリットなど

３回目：スジ切りの手術　※30〜60分ほど

４回目：翌日の消毒・経過観察

５回目：１〜２週間後の経過観察

６回目：入れ歯の型取り

 

　従来の手術は、メスの使用が一般的ですが、

当院では【歯科用レーザー】を使用した手術を提供しております。

 

　通常のメス[刃物]で切る方法と比較すると、

①出血しにくい[切りながら、同時に止血も行うため]　◎

②手術時間の短縮[縫う過程を省略することが可能なため]　◎

③術後の痛みが少ない

　　[痛みを出す物質の量が少なく、治癒促進効果がある]　◎

④複数の箇所を同時に処置ができる

　　[操作時間が短縮されるため可能である]　◎

⑤操作性の向上[出血が少ない状態で行えるので、

　　細かいところまで確認できる]　◎

という、利点があります。

 

　当院で、行っている症例が多いもので挙げると以下のスジがあります。

①頬小帯[上・下ー左・右の頬の内側にあるスジ]

②舌小帯[舌の付け根のスジ]

③上唇小帯[うわくちびるの内側のスジ]

 

　処置のデメリットとしては、

①治療期間が長くなること[最低１か月ほど]

②一時的に口内炎が出来た状態になり、多少痛みが出ること

　⇒【痛み止め】は処置後に処方しております。

③入れ歯に隙間ができ、物が入り込むようになる

　※現在入れ歯をお使いの方

がございます。

 

　処置のメリットとしては、

①がたつきが少ない、より安定した入れ歯を作ることが出来る

　⇒特に、総入れ歯や、歯の本数が少なく大型な入れ歯になる場合に

　　実感しやすいです。

②入れ歯の当たりによる痛みがでにくい

③型取りを取りやすくなるため、調整が少ない入れ歯ができる

があります。

 

　痴呆症や足腰を怪我し外来で通院できなくなると、

こういった高度の高い処置は難しくなります。

また、入れ歯は作ったら、人生最後までとも[友・共]にする相棒になります。

同窓会・夫婦や友達同士での旅行などには、美味しい食事が付き物です。

より快適な入れ歯があれば、そんな場面でも心強くサポートしてくれ、

食の楽しみが広がります。

 

　現在入れ歯をされていてお困りの方は、ぜひご相談ください。

【より満足度の高い入れ歯】が出来るような治療法を、

提案させていただきます。